ヒルズとはどんなブランドか
ヒルズペットニュートリションは、犬や猫の健康を「栄養の科学」で支える世界的な企業です。
アメリカ・カンザス州トピカに本社を置き、世界90か国以上で製品を展開しています。
日本では1977年に日本ヒルズ・コルゲート株式会社が設立され、全国の動物病院やペット専門店で販売されています。
ヒルズのドッグフードは、「科学の力でペットを健康に」という理念を中心に開発されています。
この考え方は、創業者マーク・L・モリス博士の研究に由来します。
博士は犬の病気を食事で改善できないかと考え、世界で初めて「病気を治すためのドッグフード」を開発しました。
これが後に代表ブランド「プリスクリプション・ダイエット」の始まりです。
ヒルズは、単なるフードメーカーではなく、動物の健康を研究する「臨床栄養の専門企業」としての地位を築いてきました。
犬の体の仕組みや病気の原因を研究し、栄養でどのように予防や改善ができるかを科学的に分析しています。
その結果、病気の治療を助けるフードから、毎日の健康を支えるフードまで幅広く開発しています。
ヒルズのドッグフード体系|3つのブランドライン
ヒルズペットニュートリションの製品体系は、他社と比べても非常に明確で、科学的な意図が一貫しています。
3つのブランドラインはそれぞれ、犬の健康状態・ライフステージ・飼い主の価値観に合わせて設計されており、獣医療の分野でも高い評価を得ています。
3つのブランド比較一覧
| ブランド名 | 主な目的 | 対象となる犬 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| サイエンス・ダイエット | 健康維持と予防 | 健康な犬(子犬・成犬・高齢犬) | 年齢や体型に合わせた多様なラインナップ。抗酸化栄養素配合で免疫維持をサポート |
| プリスクリプション・ダイエット | 病気の治療・管理 | 疾患を抱える犬 | 獣医師専用の療法食。腎臓・肝臓・消化器・皮膚・心臓など特定疾患を科学的にサポート |
| ベット・エッセンシャル | 予防的ケア | 健康で予防意識の高い犬 | 病気のリスクを減らすマルチケア型栄養食。獣医師・専門店限定販売 |
サイエンス・ダイエット
サイエンス・ダイエットは、ヒルズの中でも最も広く知られたブランドで、日常の健康維持に焦点を当てています。
特徴は以下の3点です。
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ライフステージに応じた精密設計
子犬期は骨や筋肉の発達を助ける高タンパク・高エネルギー配合、成犬期は代謝維持のためのバランス重視、高齢期は臓器への負担を軽減する低脂肪・高抗酸化配合と、年齢ごとにきめ細かく調整されています。 -
機能別ラインナップの充実
「体重管理」「関節ケア」「消化サポート」「皮膚・被毛ケア」など、一般的な健康課題に対応する製品群が豊富です。これにより、軽度の健康問題を抱える犬でも獣医療に頼らずに日常ケアが可能になります。 -
嗜好性と消化性の両立
高品質な動物性たんぱく質を使用し、犬が喜んで食べられる味に仕上げつつ、消化吸収を高めるレシピ設計を行っています。
また、製品は小型犬・中型犬・大型犬のそれぞれに粒のサイズやエネルギー量を調整しており、食べやすさと安全性が確保されています。
プリスクリプション・ダイエット
プリスクリプション・ダイエットは、ヒルズの「医療食」ブランドであり、世界中の獣医師により臨床現場で推奨されています。
以下の点が大きな特徴です。
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臨床試験による裏付け
すべての製品は臨床研究で効果が検証されており、学会発表や論文にも数多く引用されています。特に腎臓病ケアの「k/d」シリーズや、尿石管理の「c/d マルチケア」は高い評価を受けています。 -
疾患別の精密設計
食物アレルギー、肝臓病、糖尿病、心疾患、肥満、歯石ケアなど、犬のあらゆる病態に対応する細分化された製品群を展開。症状の進行度に合わせて段階的に選択できるようになっています。 -
獣医師との連携を重視した販売体制
一般流通を制限し、必ず獣医師の診断を経て販売される仕組みを採用しています。これにより、誤用や不適切な利用を防ぎ、正確な栄養管理を実現しています。
プリスクリプション・ダイエットは「食事を薬に近づける」というヒルズの理念を体現しており、臨床栄養学の結晶ともいえるブランドです。
ベット・エッセンシャル
ベット・エッセンシャルは、2024年に新しく登場したブランドで、「治療」と「予防」の間に位置する存在として注目されています。
従来のサイエンス・ダイエットではカバーしきれなかった“未病段階”のケアに焦点を当てています。
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5つの主要健康領域に対応
免疫、関節、消化、口腔、体重管理という5つの領域を1つの栄養設計でサポート。多面的な健康維持を実現します。 -
専門チャネル限定販売
獣医師または認定ペット専門店でのみ販売され、専門家からのアドバイスを受けながら購入できます。これにより、飼い主の理解度と継続率が高まっています。 -
プレミアム志向の品質設計
動物性たんぱく源にはチキン・サーモン・ラムなどを使用し、嗜好性を高めながら栄養バランスを最適化。パッケージには保存性の高いジップ構造を採用しています。
このブランドの登場により、ヒルズは「健康な犬から病気の犬まで」すべてのライフステージをカバーする完全な栄養体系を完成させました。
ベット・エッセンシャルは、これからの獣医療とペット栄養学をつなぐ新しい架け橋として期待されています。
科学の力で作られる安心のフード
ヒルズのドッグフードは「科学の力で健康を支える」という企業理念のもと、原材料の選定から製造、品質検査、そして環境配慮に至るまで、すべての工程に科学的根拠と管理体制を取り入れています。
この章では、ヒルズがどのようにして世界最高水準の品質を維持し、飼い主と愛犬の信頼を築いてきたのかを詳しく見ていきます。
科学的アプローチの重要性
ヒルズでは、犬の健康を維持するうえで最も重要なのは「栄養素の正しいバランス」と考えています。
そのため、栄養学・生理学・病理学など複数の専門分野が連携し、最新の科学的知見に基づいてフードを設計しています。
開発チームには、220名以上の獣医師、栄養学博士、食品科学者、品質管理技術者が参加しています。
彼らは臨床データをもとに、犬のライフステージや健康状態に応じた栄養比率を導き出し、科学的に「根拠のある栄養設計(Evidence-based Nutrition)」を実現しています。
特に注目すべきは、ヒルズが社内に設けているペット栄養センター(Pet Nutrition Center:PNC)の存在です。
ここでは数百頭の犬と猫が快適な環境で生活しており、食事・運動・健康状態のすべてがデータ化されています。
これにより、理論上の栄養設計だけでなく、実際の健康効果を継続的に検証できる仕組みが整っています。
臨床試験とエビデンスベースの開発
ヒルズのすべてのドッグフードは、発売前に複数段階の臨床試験を経て効果が確認されます。
これらの研究は獣医大学や動物医療機関との共同で行われ、臨床結果は学術誌や国際カンファレンスでも発表されています。
このプロセスにより、「フードが体に良い」とされる理由がデータで裏付けられています。
例えば、腎臓病用の“k/d”シリーズでは、適正なリン制限とアミノ酸比率が腎臓への負担を軽減することが実証されています。
また、体重管理用の“r/d”や“メタボリックス”では、脂肪代謝に影響を与える栄養素群(L-カルニチンなど)の作用を検証し、科学的根拠をもとに配合しています。
このような実証的研究こそが、ヒルズが「獣医師が最も信頼するブランド」と呼ばれる理由のひとつです。
医薬品レベルの製造・品質管理体制
ヒルズの工場では、ペットフード業界でも最高水準とされるcGMP(current Good Manufacturing Practices:現行適正製造基準)を採用しています。
これは医薬品製造と同等の厳格さを持ち、次のような工程が義務づけられています。
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原材料のトレーサビリティ(追跡管理):すべての原料の仕入れ元、生産地、検査記録がデータベースで管理され、問題発生時には即座に特定可能。
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多段階検査システム:受け入れ検査、製造中のサンプリング検査、完成品の品質検査をそれぞれ独立した部門で実施。
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交差汚染防止設計:各製品ラインを完全に分離し、療法食などの高精度フードで異なる成分が混入しないよう管理。
さらに、出荷前の最終段階では安全性テストと栄養素プロファイル検証が行われ、ヒルズの品質保証チームが基準を満たさない製品を市場に出さない体制を整えています。
天然成分と添加物へのこだわり
ヒルズは、「安全性を最優先にした科学的レシピ」を採用しています。
人工保存料や着色料は一切使用せず、酸化防止には天然由来の成分を使用しています。
代表的な例として、以下の成分が挙げられます。
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ビタミンE:脂肪の酸化を防ぎ、抗酸化作用を発揮。
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ローズマリー抽出物:天然の保存料として働き、風味を保つ。
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緑茶抽出物:抗菌・抗酸化作用により、製品の鮮度を維持。
これらの天然由来成分は、添加物を極力排除しつつも品質を守るために活用されています。
さらに、嗜好性を高めるために動物性たんぱく質の品質にもこだわり、調達元はすべて安全認証を取得したサプライヤーに限定しています。
環境への配慮と持続可能性
ヒルズは「ペットの健康だけでなく、地球の健康も守る」という理念を掲げています。
その一環として、環境負荷の低減にも積極的に取り組んでいます。
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再生可能エネルギーの活用:製造施設の一部で風力・太陽光発電を導入。
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リサイクル素材のパッケージ:パウチや袋に再生プラスチックを採用し、プラスチック削減を推進。
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サプライチェーン全体の環境認証:輸送や梱包にもカーボンフットプリント削減の指標を導入。
また、ヒルズは2025年までに「全製品パッケージのリサイクル対応化」を目指すグローバル目標を掲げており、ペットフード業界全体の環境基準引き上げに貢献しています。
信頼性を支える国際認証と受賞歴
ヒルズの製造施設は、ISO 22000(食品安全管理)やHACCP(危害要因分析重要管理点)など、国際的な品質基準に準拠しています。
また、アメリカ飼料管理官協会(AAFCO)の栄養基準にも完全準拠しており、科学的・法的双方からの信頼性を確保しています。
さらに、ヒルズは持続可能な製造・動物福祉の取り組みで複数の国際的アワードを受賞しており、ペットフード業界における倫理的リーダーシップを発揮しています。
ヒルズの栄養哲学と原材料へのこだわり
ヒルズペットニュートリションの根本的な理念は、「良い原材料を選ぶこと」ではなく、「犬にとって最も適切な栄養バランスを提供すること」にあります。
これは、単に“高品質な素材”を使うという一般的なプレミアムフードの考え方とは異なり、臨床栄養学に基づいた“科学的な食事設計”に重点を置いている点が特徴です。
栄養哲学の核心
ヒルズの開発チームは、犬が必要とする栄養素を科学的に分析し、それをどの原料からどの比率で摂取するのが最も効率的かを追求しています。
目的は“自然”ではなく“最適”。
そのため、ヒルズでは穀物(トウモロコシ、小麦、米など)も重要な栄養源として位置づけています。
これらは消化吸収率が高く、良質なエネルギー源として活用されています。
また、炭水化物だけでなく、ビタミン・ミネラル・食物繊維なども同時に供給できるため、犬の腸内環境維持にも寄与します。
特にトウモロコシは、アミノ酸組成が優れており、筋肉維持や皮膚の健康にも役立つ栄養素を多く含んでいます。
ヒルズではこの穀物をアルファ化(加熱処理)して消化性を高め、犬が効率よくエネルギーを吸収できるよう工夫しています。
グレインフリー志向との違いと科学的立場
近年、「グレインフリー(穀物不使用)」ドッグフードが人気を集めていますが、ヒルズはあくまで科学的な観点からこれに慎重な姿勢を取っています。
米国食品医薬品局(FDA)では、一部のグレインフリーフードが特定の心疾患(拡張型心筋症:DCM)と関連する可能性を指摘しており、栄養の偏りが問題視されています。
ヒルズはこの研究結果を踏まえ、穀物を完全に排除するのではなく、適切に処理して活用することで、安全かつ栄養バランスの取れた食事を実現しています。
このように、ヒルズの立場は「穀物=悪」ではなく、「穀物も適切に使えば有益な栄養源」という科学的な考えに基づいています。
犬の健康を守るために、流行や印象ではなくデータと実証に裏付けられた栄養哲学を採用しているのです。
動物性油脂とタンパク質源へのこだわり
ヒルズでは、「動物性油脂」や「ミートミール(肉粉)」といった原材料も、厳格な品質基準のもとで選定されています。
これらの素材は曖昧な印象を持たれがちですが、実際にはAAFCO(米国飼料検査官協会)やFEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)の基準を満たした安全な成分です。
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動物性油脂:嗜好性を高め、エネルギーを効率的に供給する重要な成分。抗酸化処理を施し、酸化防止のためにビタミンEを配合。
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ミートミール:新鮮肉と比べて水分量が少なく、栄養密度が高い。たんぱく質、カルシウム、リンなどを安定的に供給できる。
また、ヒルズではアミノ酸プロファイル(必須アミノ酸比率)を重視しており、単に「肉を多く使う」よりも、「犬の体に最も適したアミノ酸バランス」を目標に配合を行っています。
これが、筋肉維持や免疫力強化に科学的効果をもたらす理由です。
微量栄養素と抗酸化栄養の科学
ヒルズのフードには、マクロ栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)だけでなく、微量栄養素にも細かな配慮がなされています。
特に以下の3点が特徴です。
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ビタミン群の最適配合:ビタミンA・C・Eを中心に、細胞の酸化ストレスを抑える抗酸化バランスを確立。
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ミネラルの吸収効率向上:カルシウムとリンの比率を1.2:1前後に調整し、骨の健康と腎臓負担の軽減を両立。
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オメガ脂肪酸バランス:魚油や亜麻仁から摂取されるオメガ3系脂肪酸を配合し、皮膚と被毛の健康をサポート。
これらの要素はすべて、犬の年齢や健康状態ごとに臨床データに基づいて最適化されています。
特に高齢犬向けフードでは、細胞レベルでの老化防止を目的に抗酸化物質の含有量が増やされています。
原材料のトレーサビリティと供給体制
ヒルズの全原材料は、サプライチェーン全体で徹底したトレーサビリティ管理が行われています。
農場や漁場の段階から衛生・環境基準をクリアした供給元のみと契約し、原料の受け入れ時には化学検査と微生物検査を実施します。
特にタンパク源(チキン・ラム・サーモンなど)は、ヒューマングレード(人間食用基準)の素材を優先的に使用し、安全性と品質の両立を図っています。
輸入原料についてもISO 22000に準拠した管理体制のもと、栄養成分や水分量を定期的に測定しています。
科学的アプローチによる「安心の根拠」
ヒルズの栄養哲学は、一言で言えば“データに基づく安心”です。
見た目や流行、イメージに左右されず、すべての配合には臨床的な裏付けがあります。
これは、長年にわたり獣医師や研究者と共に築いてきた科学的信頼の証です。
つまりヒルズのドッグフードは、自然派ブランドとは異なるベクトルで「安全・安心・最適」を追求する製品群なのです。
科学と実証を重ねた栄養哲学こそが、ヒルズを世界的ブランドへと押し上げた最大の理由といえるでしょう。
獣医師と飼い主の評価
ヒルズのドッグフードは、臨床現場での信頼度が極めて高い一方で、一般消費者の間では賛否が分かれるブランドでもあります。
この章では、獣医師・動物病院での評価、実際の使用例、そして飼い主の口コミや意識の違いを整理し、ヒルズがなぜ支持されるのか、またなぜ批判も受けるのかを多角的に分析します。
獣医師からの信頼と臨床現場での実績
ヒルズのドッグフードは、「臨床栄養学に基づく治療サポート食」として、世界中の獣医師から厚い信頼を得ています。
アメリカ獣医師会(AVMA)や日本獣医師会の会員を対象にした調査でも、「最も推奨する療法食ブランド」として上位にランクインしています。
主な支持理由:
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科学的根拠に基づく設計:すべての製品に臨床データが存在し、症状改善の再現性が高い。
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疾患別の細分化:腎臓病・肝臓病・皮膚疾患・消化器疾患など、症例ごとに精密に設計されている。
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世界規模の研究ネットワーク:ヒルズは獣医大学・動物病院と提携し、リアルタイムで栄養研究を継続。
特にプリスクリプション・ダイエットシリーズは、臨床研究で効果が実証された代表的な療法食です。
例えば、腎臓病用の「k/d」では、タンパク質・リン・ナトリウムを適正に制限することで腎機能を保護し、平均生存期間を延ばす効果が報告されています。
また、皮膚疾患用の「z/d」や「d/d」では、食物アレルギーの犬に対してかゆみや発疹の改善が確認されています。
動物病院での使用例:
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皮膚トラブルの軽減:「z/d」を使用した犬で約3週間以内にかゆみの減少が見られたという臨床報告。
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消化器系の安定化:「i/d」シリーズが下痢や嘔吐を繰り返す犬に効果を示したケース。
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体重管理の成功:「メタボリックス」を使用した犬のうち、約70%が3か月以内に目標体重を達成。
このように、ヒルズはエビデンス(科学的根拠)と臨床データに基づいた療法食のパイオニアとして確固たる地位を築いています。
飼い主の評価とその背景
一方で、一般の飼い主からの評価は分かれます。
ポジティブな意見が多い一方で、特定の価値観を持つ層からは批判的な声も少なくありません。
以下では、代表的な賛否の声を整理します。
好意的な意見:
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「長年与えているが、健康診断の結果が安定している」
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「便の状態が良く、ニオイが減った」
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「高齢犬でも食いつきが良く、毛艶が改善した」
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「動物病院で勧められたので安心して続けられる」
これらの意見の多くは、ヒルズの科学的設計による安定した健康維持効果を実感した飼い主から寄せられています。
特に「食事管理を通じて健康寿命を延ばしたい」と考える層に支持されています。
否定的な意見:
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「原材料に穀物が多く、自然食っぽくない」
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「価格が高く、長期的に続けにくい」
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「人工的な印象があり、自然派ブランドの方が良さそうに感じる」
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「匂いが強く、嗜好性に個体差がある」
否定的な意見の多くは、ヒルズの科学志向と自然志向の価値観の違いに由来します。
つまり、科学的・臨床的アプローチを重視する飼い主には高く評価される一方で、「ナチュラル」「無添加」「オーガニック」といったキーワードを重視する層には距離を置かれる傾向があります。
SNS・口コミサイトでの傾向分析
近年はSNSや口コミサイトでの情報が消費者の判断に大きく影響しています。
ヒルズに関しても、プラットフォームごとに評価の傾向が異なります。
| プラットフォーム | ポジティブ評価傾向 | ネガティブ評価傾向 |
|---|---|---|
| 動物病院・獣医師ブログ | 栄養学的信頼性、臨床データの豊富さ | 価格の高さ、嗜好性の個体差 |
| Amazon・楽天レビュー | 効果実感・便の安定・毛艶の改善 | 値段・パッケージサイズ・匂いの好み |
| SNS(X・Instagramなど) | 「うちの子が元気になった」など体験型ポスト | 「自然派ブランドと比べて人工的」など感覚的批判 |
このように、ヒルズは科学的根拠を求める層に支持される一方で、「見た目」「原材料名」「広告表現」を重視する層にはやや誤解されやすい傾向があります。
獣医師と飼い主の間にある意識ギャップ
ヒルズの評価の分かれ目は、“栄養学的信頼”と“感覚的安心感”のどちらを重視するかにあります。
獣医師は臨床データを基準に判断しますが、飼い主は「自然」「無添加」「見た目」などの印象も重要視します。
ヒルズは、科学的裏付けを持つ栄養管理という点で明確な強みを持ちますが、そのメッセージが一般消費者に十分伝わっていない部分もあります。
今後の課題は、科学的ブランドであるヒルズが、よりわかりやすく“信頼できる理由”を伝えるコミュニケーション戦略を強化することです。
ロイヤルカナンとの比較で見るヒルズの特徴
ヒルズとロイヤルカナンは、世界のプレミアムドッグフード市場を代表する二大ブランドです。
どちらも獣医師との連携や科学的根拠に基づいた開発を強みとしていますが、その哲学や製品設計の方向性には明確な違いがあります。
この章では、両ブランドの特徴を多角的に比較し、ヒルズの独自性を浮き彫りにします。
両ブランドの開発思想の違い
ヒルズの最大の特徴は、「臨床栄養学(Clinical Nutrition)」という明確な科学的立場を基盤としている点です。
つまり、病気の予防・治療・管理を食事でサポートすることを目的とし、栄養素の組み合わせと臨床データを最重要視しています。
一方のロイヤルカナンは、「個体特性に基づく最適化(Individualized Nutrition)」を重視しています。
犬種・年齢・体格・ライフスタイルごとに異なる生理的特性を分析し、それぞれに最適なフードを設計します。
例えば、プードル専用フードは被毛の質を維持するために脂肪酸バランスを調整し、柴犬専用フードは皮膚バリア機能を強化する成分を配合するなど、犬種ごとに細かくカスタマイズされています。
つまり、ヒルズは「病態を科学的に管理するブランド」、ロイヤルカナンは「犬種と個性に寄り添うブランド」と言えるでしょう。
2. 製品ポートフォリオの構造比較
| 項目 | ヒルズペットニュートリション | ロイヤルカナン |
|---|---|---|
| 開発思想 | 臨床栄養学・病態管理 | 犬種・体格・ライフステージ別最適化 |
| 主なブランドライン | サイエンス・ダイエット、プリスクリプション・ダイエット、ベット・エッセンシャル | ヴェテリナリーヘルスニュートリション、ブリードヘルスニュートリション、サイズヘルスニュートリション |
| 強み | 臨床データに基づく治療食・科学的検証 | 犬種別・環境別のきめ細かいラインアップ |
| 主要販売チャネル | 獣医師・動物病院・専門店 | 獣医師・専門店・一部量販店 |
| 研究アプローチ | 疾患別の臨床研究 | 遺伝的・環境的特徴の行動学的研究 |
このように、両社の製品構造は同じ「科学」を基盤としながらも、その焦点が異なります。
ヒルズは医学的な“精密栄養”を追求し、ロイヤルカナンは“多様性に対応する柔軟な栄養”を提供しています。
獣医師・消費者から見たブランドイメージ
獣医師の視点
獣医師の多くは、ヒルズを「科学的根拠に最も忠実なブランド」として認識しています。
プリスクリプション・ダイエットシリーズは、腎臓病・皮膚疾患・糖尿病などの臨床現場で標準治療の一部として使われており、処方率も非常に高い傾向にあります。
一方、ロイヤルカナンは「幅広い患者層に対応できる実用的なブランド」として評価されています。
特定犬種や体質に合わせた選択肢が多いため、症状が軽度な犬や予防目的のフードとして推奨されやすいのが特徴です。
飼い主の視点
飼い主から見ると、ヒルズは「病気に強い信頼のブランド」、ロイヤルカナンは「うちの子専用が見つかるブランド」という印象で語られることが多いです。
特にSNS上では、ロイヤルカナンの犬種特化型シリーズの人気が高く、「愛犬の名前+専用フード」という投稿も多く見られます。
4. 原材料と栄養設計の違い
ヒルズは「栄養素第一主義」を掲げ、原材料そのものよりも栄養のバランスと吸収性を重視します。
原料には穀物やミートミールを使用しつつも、科学的検証によって安全性と栄養効率を確保しています。
製品はすべてAAFCO・FEDIAF基準を満たし、医薬品レベルの品質検査を実施しています。
一方のロイヤルカナンは、原材料よりも機能性を重視します。
消化性の高い植物性タンパク質や特定アミノ酸を多用し、犬種ごとの体質に合った栄養吸収をサポートします。
また、嗜好性を高めるための脂肪コーティング技術にも優れており、「食いつきの良さ」では高評価を得ています。
この違いは、ヒルズが“科学的根拠による信頼”を軸にしているのに対し、ロイヤルカナンが“体験的満足感”を重視していることを示しています。
5. ブランド戦略と市場での立ち位置
ヒルズは「獣医療チャネル」を重視し、製品の多くを動物病院を中心に販売しています。
これにより、獣医師との信頼関係を維持し、医療現場でのブランド価値を高めています。
対してロイヤルカナンは、動物病院に加えてペットショップやECサイトでも積極的に展開しており、消費者接点を広げるマーケティング戦略を採用しています。
結果として、ロイヤルカナンは「広く浅く」、ヒルズは「狭く深く」というブランド展開の対照的な構図が生まれています。
ヒルズのドッグフードを選ぶためのガイド
ヒルズのドッグフードを選ぶ際に最も重要なのは、愛犬に合った最適な種類を選ぶことです。
犬の健康状態や飼い主の考え方によって、選ぶべき製品は異なります。
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病気を抱える犬:獣医師の指導のもとでプリスクリプション・ダイエットを使用しましょう。
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健康維持が目的の犬:日常的な栄養バランスを整えるサイエンス・ダイエットがおすすめです。
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将来の病気予防を考える犬:マルチケア型のベット・エッセンシャルが最適です。
結論|科学と信頼で選ぶフード
ヒルズのドッグフードは、獣医師と飼い主が協力して愛犬の健康を守るための強力なパートナーです。
大切なのは「今の犬に本当に必要な栄養」を理解し、信頼できる情報をもとに選ぶことです。
科学と愛情を両立したヒルズのフードは、愛犬の一生に寄り添う安心の選択肢といえるでしょう。

