ドッグフードとナチュラルバランス完全ガイド｜アレルギー対応とブランドの特徴を知る

ナチュラルバランスとはどんなドッグフードか

ナチュラルバランスは、犬のアレルギーに配慮した特別なドッグフードを展開しているブランドです。

皮膚のかゆみや下痢に悩む犬や、食べられる食材が限られている犬のために作られ、獣医師や専門家から高い評価を受けています。

過去にはリコールの問題がありましたが、その経験をきっかけに安全性と安心感をより強く打ち出すようになりました。

ブランドのはじまりと理念

ナチュラルバランスは、俳優であり動物愛護活動家でもあったディック・ヴァン・パッテンによって立ち上げられました。

彼はテレビや映画で活躍する傍ら、動物への深い愛情と「ペットも人と同じように安全で栄養のある食事を楽しむべきだ」という信念を持っていました。

このユニークな背景が、ブランドの個性とストーリー性を強めています。

当時のペットフード市場は、大手企業による大量生産型のフードが主流であり、原材料の透明性や犬の個別ニーズへの対応は十分ではありませんでした。

こうした状況の中で、ディックは「犬たちの健康を守るためにシンプルで信頼できるフードを作る」という強い思いを形にしました。

これがナチュラルバランスの出発点です。

創設の初期段階から、彼は獣医師や動物栄養士と協力し、最新の栄養学を取り入れたレシピ開発を進めました。

これにより、従来の市販フードにはなかった「科学的根拠に基づく安心感」を提供することができるようになりました。

その成果は、動物園や保護施設などでも採用される実績につながり、専門家の支持を得る基盤となりました。

ナチュラルバランスが掲げる「Feed With Confidence（自信を持って与えられる）」という理念は、単なるスローガンではありません。

これは過去のリコール問題を教訓にしながら、常に透明性と安全性を追求するブランド姿勢を表しています。

具体的には、消費者が購入した製品のロット番号を通じて検査結果を確認できるシステムの導入や、製品ごとの栄養情報を公開する取り組みが含まれます。

こうした姿勢は「信頼できるフードを選びたい」という飼い主の心理に応えるものであり、ブランド価値を高める大きな要因となっています。

さらに、ナチュラルバランスは単に「アレルギーに配慮したドッグフード」という枠を超え、犬と人との関係性や動物福祉への意識向上にも貢献してきました。

創設者の思いと専門家の知見が結びつくことで、ナチュラルバランスは単なるフードブランドではなく、「犬と共に健やかに生きるためのパートナー」として認知されるようになったのです。

製品ラインナップの特徴

ナチュラルバランスには、犬の体質や健康状態に合わせて選べる複数のシリーズがあります。

これらは単なるフードの種類というだけでなく、飼い主が抱える悩みに具体的に応える形で設計されています。

オリジナルウルトラシリーズ

「オリジナルウルトラ」は、全犬種・全年齢に対応する総合栄養食です。

従来の「ホールボディヘルス」として知られていた製品を改良したもので、成長期の子犬からシニア犬まで幅広く対応します。

特徴は、タンパク質・脂質・炭水化物のバランスがよく、オートミールや玄米など低GIの食材を使うことで血糖値の急上昇を抑える工夫がある点です。

さらに、DHAやEPAといった必須脂肪酸も含まれており、脳や神経、皮膚や被毛の健康維持にも寄与します。

L.I.D.（Limited Ingredient Diets）シリーズ

「L.I.D.」はナチュラルバランスを象徴するシリーズで、食物アレルギーや消化不良に悩む犬のために作られています。

動物性タンパク質を一種類に絞り、炭水化物も制限することで、アレルギーの原因となりやすい成分を徹底的に避けています。

ダック、ベニソン（鹿肉）、バイソン、サーモンなど一般的なドッグフードにはあまり使われない珍しい肉を用いているのが特徴です。

これにより、飼い主は定期的にタンパク源を変える「フードローテーション」を実践しやすく、長期的なアレルギー管理にも役立ちます。

グレインフリーの選択肢も多く、穀物に敏感な犬への配慮もされています。

体重管理用フード

体重増加に悩む犬や運動量の少ない犬には「低カロリーレシピ」があります。

かつて「ファットドッグス」や「リデュースカロリー」と呼ばれていた製品が統合され、オリジナルウルトラシリーズに含まれています。

脂肪分を抑えつつも、繊維質を増やして満腹感を与える工夫がされており、無理なく体重管理を続けられるのが強みです。

特に肥満傾向のある中高齢犬や避妊・去勢後の犬に人気があります。

ベジタリアン用フード

「ベジタリアン」レシピは、動物性原料を一切使用せずに設計された非常に珍しいフードです。

動物性タンパク質に強いアレルギーを持つ犬や、飼い主が動物性食品を避けたいと考える場合に選ばれています。

大豆やエンドウ豆、玄米といった植物性の栄養源を組み合わせ、犬に必要な必須アミノ酸をバランスよく摂取できるよう工夫されています。

ウェットフードとトリーツ

ナチュラルバランスはドライフードだけでなく、缶詰タイプのウェットフードや「プレートフルズ」と呼ばれる便利なパウチ入り製品も展開しています。

水分を多く含むため水分摂取量を増やしたい犬に適しており、嗜好性も高いため食欲が落ちている犬に与える補助的なフードとして人気です。

また、L.I.D.の哲学を反映したアレルギー対応トリーツも用意されており、日常のご褒美やしつけにも安心して使えます。

評価と飼い主の声

肯定的な評価

ナチュラルバランスは、専門家や獣医師から高く評価されているブランドです。

特に、以下のような点が支持されています。

原材料表示の明確さ：曖昧な「肉類」「穀類」といった表記ではなく、「ダック」「サーモン」「玄米」といった具体的な材料名が記載されているため、飼い主が安心して選ぶことができます。
栄養バランス：オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸が強化されており、皮膚や被毛の健康維持に役立つ点が評価されています。
消化しやすい配合：低GI食材を採用することで、血糖値の急激な変動を防ぎ、消化器系への負担を減らしています。

飼い主からの肯定的な声では、「長年悩んでいた皮膚のかゆみが軽減された」「慢性的な下痢が改善した」といった体験談が多く見られます。

特にL.I.D.シリーズの多様なタンパク源が評価されており、フードローテーションを通じてアレルギーの発症を防ぐ実践例も報告されています。

また、嗜好性の高さから「食いつきが良い」との声もあり、偏食気味の犬に助けとなるケースがあります。

否定的な評価

一方で、否定的な意見も一定数存在します。

代表的な内容は以下の通りです。

嗜好性の問題：「全く食べてくれなかった」という声が少なくありません。特に味や匂いに敏感な犬では顕著です。
消化器系の不調：「食べ始めてから下痢をした」「便が柔らかくなった」といった報告もあります。これは肯定的な意見と真逆であり、個体差が大きいことを示しています。
価格に対する不満：プレミアムフードのため一般的なフードより高価であり、「続けるのが難しい」という声もあります。

否定的な評価は、すべての犬に当てはまるわけではありませんが、ナチュラルバランスが「万能ではない」ことを示しています。

そのため初めて与える際は、小さいパッケージやサンプルを利用して試すのが推奨されます。

総合的な評価

ナチュラルバランスは「合う犬には非常に効果的」「合わない犬にはトラブルになることもある」という二極化した特徴を持つフードです。

この傾向は、一般的なフードと比べて原材料や栄養設計が特殊であることに由来しています。

したがって、飼い主は「愛犬の体質に合うかどうか」を見極める姿勢が重要です。

適切にマッチすれば、ナチュラルバランスは愛犬の生活の質を大きく向上させる可能性を秘めています。

安全性とリコールの歴史

ナチュラルバランスは長いブランドの歴史の中で、複数回にわたってリコールを経験しています。

これらの出来事は消費者の信頼を大きく揺るがすものでしたが、同時にブランドが安全性を見直し、改善を進める契機にもなりました。

主なリコール事例

2007年4月：鹿肉と玄米を使ったドライフードに、メラミン汚染の疑いが発覚し自主回収となりました。これは当時、米国全土を揺るがした大規模なペットフード汚染事件の一部でした。
2007年7月：缶詰製品の一部でボツリヌス菌のリスクが指摘され、予防的措置として回収が行われました。
2010年：一部のドライフードでサルモネラ菌汚染の可能性があり、該当ロットを自主回収しました。
2012年：製造を委託していた工場でサルモネラ菌汚染が確認され、ナチュラルバランスを含む複数ブランドに影響が及び、再度回収措置が取られました。

ブランドの対応と改善策

これらのリコールを受けて、ナチュラルバランスは次のような安全対策を導入しました。

自社検査施設の設立：ISO認証を受けた検査室を自社内に設け、すべての製造ロットを出荷前に厳格に検査しています。
多段階の検査プロセス：原材料受け入れ時、製造過程、出荷前の3段階で検査を行い、汚染のリスクを最小化しています。
透明性の向上：製品パッケージに印字されたロット番号をウェブサイトで入力すると、その製品が実際に受けた検査結果を消費者が確認できる仕組みを整備しました。
外部機関との連携：FDA（米国食品医薬品局）や第三者検査機関と協力し、基準を満たすだけでなくそれを上回る安全基準を設定しています。

消費者への影響

リコールはブランドに大きな打撃を与えましたが、それをきっかけに「Feed With Confidence」プログラムが確立されました。

消費者にとっては、自分が購入したフードの安全性を直接確認できる安心感につながり、逆に「透明性を徹底しているブランド」というイメージを形成する一因ともなっています。

他ブランドとの比較

ナチュラルバランスは、プレミアムドッグフード市場においてアカナやオリジンと比較されることが多いブランドです。

それぞれの特徴や哲学を整理すると、選ぶ際のポイントが見えてきます。

ブランド哲学の違い

アカナとオリジン：両ブランドは「犬の祖先の食事を再現する」ことをコンセプトに掲げています。カナダの大自然で育った新鮮な肉や魚をふんだんに使い、肉の含有量が50～90％と非常に高いのが特徴です。また、オリジンは「ホールプレイ（丸ごと獲物）」の考え方に基づき、肉や内臓、骨まで使用し、自然に近い食事を再現しています。
ナチュラルバランス：これに対し、ナチュラルバランスは「シンプルで分かりやすい栄養」と「アレルギー対策」を軸にしています。原材料を限定することで、アレルギーの原因になりやすい成分を避け、特定の健康課題を持つ犬に寄り添うアプローチを取っています。

栄養設計の違い

アカナ／オリジン：高タンパク・高脂質で、活動量が多い犬や筋肉量を維持したい犬に適しています。穀物をほとんど使用せず、豆類や野菜などを炭水化物源としています。
ナチュラルバランス：タンパク質の割合は20％台前半と比較的控えめで、消化しやすくバランスの取れた配合になっています。L.I.D.シリーズでは動物性タンパク質を1種類に限定し、アレルギー管理に特化した設計が特徴です。

対象となる犬の違い

アカナ／オリジン向き：健康で活発な犬、運動量が多い犬、筋肉やエネルギーをしっかり維持したい犬。
ナチュラルバランス向き：食物アレルギーや過敏症のある犬、消化器系にトラブルを抱えやすい犬、特定の食材を避けなければならない犬。

飼い主へのメリットと選び方

アカナ／オリジンを選ぶメリット：祖先食を重視した「理想的な食事」を与えたい飼い主や、筋肉や体力を重視するスポーツドッグの飼い主に適しています。
ナチュラルバランスを選ぶメリット：アレルギーや消化不良といった具体的な悩みを解決するために「実用的で信頼できるツール」として使いたい飼い主に向いています。

価格と購入のしやすさ

ナチュラルバランスはプレミアム価格帯に分類されるドッグフードであり、一般的な市販フードと比べて価格は高めです。

その理由は、アレルギー対応や珍しいタンパク質源の使用、厳格な検査体制などにコストがかかっているためです。

平均的な価格帯

小容量（1kg前後）：約2,000円〜2,500円
中容量（2kg〜3kg）：約4,500円〜6,000円
大容量（10kg以上）：約15,000円〜20,000円

ラインナップや販売サイトによって価格差があるため、購入の際は複数店舗を比較することが推奨されます。

購入できる場所

オンラインショップ：Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなど大手通販サイトで広く取り扱われています。特に楽天市場ではポイント還元やキャンペーンによって実質価格が安くなるケースが多いです。
ペット専門店：一部の大手ペットショップで販売されていますが、近年は取り扱い縮小や終了が見られます。これは新しいブランドとの競争や輸入代理店の契約変更によるものと考えられます。
公式代理店や輸入業者：正規輸入品を取り扱う代理店から購入する方法もありますが、価格がやや高く設定されている場合があります。その代わり安心感やサポート体制が整っています。

流通の変化

近年、一部の代理店がナチュラルバランスの取り扱いを終了した事例があり、消費者が購入できる店舗が減少しています。

その一方で、新ブランド（例：LUCY PET FOODS）の取り扱いが増えており、競争環境が変化しています。

これにより、今後は直販モデルやオンライン限定販売が主流になる可能性もあります。

購入時の注意点

並行輸入品は安く手に入ることがありますが、保存状態や賞味期限に不安が残る場合があります。できるだけ正規ルートで購入する方が安全です。
大容量を購入する場合は、開封後の保存方法に注意が必要です。小分け保存や密閉容器の使用が推奨されます。

まとめと選び方のポイント

ナチュラルバランスは過去のリコールを乗り越え、安全性を強化して信頼を回復してきたブランドです。

特にアレルギー対応に強みがあり、独自のラインナップを持っています。

注意が必要な犬

健康で運動量が多く、より高タンパクなフードが必要な犬
嗜好性にこだわりがあり、食べない可能性がある犬
コストを重視する飼い主が育てている犬

初めて試すときは少量から始め、愛犬に合うか確認することが大切です。

体質やライフスタイルに合わせて選べば、ナチュラルバランスの魅力をしっかり実感できます。